レボリューションファクトリー製スイ99コンバージョンキットを組む

2005.07.31


[はじめに]
 レボリューションファクトリー製のスイ99のコンバージョンキットを組みました。スイ99はWルーフのスシ37(スシ37 1〜38:元スシ37700)のうちの1両が進駐軍の命令で改造され、その後いくつかの改番を経たもので(スシ37 12 → (マハ47 172) → スイネ39 1 → スヤ39 1 → スイ48 1 → スイ99 1)、数少ない戦後の白帯1等車の一つです。一方で、ほとんど資料が無く、キットの説明書でも片側の窓割りとベンチレータ配列くらいしか書いてありませんでしたが、最近発売された資料など(頁末に記載)を参考に想像を交えて組んでみました。以下、その簡単な報告をいたします。

 *原則としてプラ同士はプラ用接着剤、金属−プラ/金属同士は瞬間接着剤を使用しています。

[種 車]
 Wルーフ車の種車はモデモの完成品(スハ32等)ですが、現時点(2005年上半期)では入手難でした。そこで種車の節約のため、少々難ありのまま組んだ中村精密のマニ31を薄め液に一晩浸して分解し、各パーツを得ました。その際、デッキ部を破損してしまったので、デッキ部は中村精密キットの使い残りのストックから調達しました。妻板もマニ31のものは形状が違うのでストックから調達しました。
写真右:種車部品。最下段左端は分解時に破損したデッキ部

[車 体]
 側板は普通に組み、段付き雨樋を追加しました。なお、内張にある床板止めは使いません(折り曲げず)。デッキ部もこの種のコンバージョンキットの定石どおりに組みました(この車輛は片デッキなので少し楽)。
 続いて車体が歪まないように注意しながら、マスキングテープで仮止めもしながら妻板を接着しました(非デッキ側の妻板は組立て用のモールドを削ってから接着)。また、妻板の貫通路にタバサのマロネフ29用貫通扉(観音開き扉のつもり)を、デッキ側の妻板に梯子を付けました。なお、アンチクライマーは省略しました。
 さらに側板内側上端にスペーサーとして0.6t(厚みは屋根との現物合せによる)プラ帯板を、下端から2mmの位置に補強/床板止めとして1.5×1.5mmプラ角棒を接着しました。
 この時点で屋根や床板がうまく車体に収まるように補強のプラ板や屋根を調整しました(屋根が微妙に長かった)。また、床板と側板の間のスペーサーには0.5〜0.7t(現物合せによる)プラ帯板を接着しました。
写真右上段:側板の組立て
写真右中段:デッキの切出し・加工(左)、組立て(右)
写真右下段:側板と妻板の組立て



[屋 根]
 まず旧調理室上のベンチレータ配列を加工しました。ベンチレータを1個削り、その両側にGMの別売りパーツを少し加工して2個配置しました。旧食堂室上のベンチレータは実際は数が一つ多いのですが、加工が大変なのでそのままです(そのため、ベンチレータ等の配列は実車とは異なっています)。
 調理室(改造後)部分の屋根にはダクトのようなものがあり、実際には石炭レンジの煙突・蓋のようですが、資料写真を参考に1t×2mmプラ帯板から適当に作りました。さらに屋根上にラジオ受信アンテナ(0.2mm(スケールでは0.1mm以下になると思われますが)真鍮線。形状や位置は適当...)を取付けました。なお、屋根上給水栓(塵濾し)は省略しました。
写真右上:屋根のベンチレータ(中央部)を削ったところ
写真右中:GM製ベンチレータを接着
写真右下:調理室側屋根の工作


[下回り]
 台車はキングスホビーのTR71(キット)を使用しました。ホワイトメタル製台車枠のブレーキシューの表現が大きすぎるので、形状はある程度無視して小さくヤスり整形しました。
 床板のボルスターは台車に合わせて移設(新設)しました。元のボルスターを削り落とし、1.2tのプラ板を2枚(5×5mm、6×15mm)貼り合わせて中心ピン穴(直径2mm)をあけ、中心ピンが床板端から17mmの位置になるように接着しました。
 床下には0.5tプラ板から切り出した魚腹台枠の表現を加えました。床下機器はスシ37700や資料写真を参考に、種車やGMの部品をそれらしく配置しました。なお、床上のウエイトは台車取付けネジに当たらないように短縮しました。
写真右上:台車枠のブレーキシュー整形前(上)と整形後(下)
写真右下:ボルスター周辺の工作
写真下:床下関係の工作
 


[仮組み、内装]
 仮組みをしたところです。まぁ、実際には各部を作りながら適宜仮組みをしているわけですが...
 また、内装をキングスホビーのパーツやプラ板等から簡単に作りました(調理室やトイレの内部等は省略)。
写真右上:仮組み
写真右下:内装の工作


[塗装など]
 車体はクレンザー洗浄・ブラスクリーン(マッハ)洗浄の後、モデラーズのメタルプライマー(スプレー:以下同じ)で下塗り、内装はクリーム色1号(GM5番)、外側は白(9番)を塗ってから帯部をマスキング(幅1.0〜1.1mm)してぶどう色2号(2番)、床下は黒(10番)、屋根はダークグレー(35番)に塗り、屋根と車体は塗装後に接着しました。なお、調理室と便所以外の窓には横引きカーテンがあるそうですが、とりあえず何もしていません。

  写真上:仕上がり(廊下側)

[考察など]
 スイ99は今まで殆ど実車写真を見たことがないため、適当に組んでしまおうと思っていました。しかし、下記の資料中に写真があったおかげで、一応それらしく組むことができたと思います。もっとも、写真などから色々なことが分かったため、かえって製作上の悩みは増えてしまった感はありますが...
 実車はその生い立ちや内装の特殊性のため定期運用されたことはなく、早い時期に廃車されました。模型では特別列車や看板列車に組み込んでがんがん走らせてあげたいですね。

(参考資料)
 国鉄鋼製客車史 第1編 オハ31形(オハ44400)の一族【下巻】 藤本 邦彦 著、三橋 克己 資料、葛 英一 資料 出版:車両史編さん会
 客車形式図面集 昭和20−30年代 (上) 有限会社 ジェイズ


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