津川洋行製のキハ07を動力化する

1998.03.26


[はじめに]

 津川洋行製のキハ07ディスプレイモデルを動力化してみました。 キハ07自体は、以前から他社よりエッチングキットが出ていますが、最初にこのモデルを見たときに、 こちらのほうを簡便に動力化できないかと思ったのです。 で、やってみた結果、なんとかうまくいったので報告いたします。

[動力ユニット]

 動力ユニットにはグリーンマックス製(GM)のキハ04・キニ05キットに入っているものを使いました。 (というか、この動力ユニットがあったので動力化を思いついた、というのが本当のところです。) この動力ユニットは片側台車駆動で、小型モーターが台車の上に乗ったタイプであり、 もう片方の台車とは集電用の電線で結ばれているだけなので、床板を切継ぎすることで 台車中心間の延長・短縮が割と簡単にできます。 車体に突っ込んで見た感じでもぎりぎり入るのでこれを使用することにしました。 走らせるとガーガーとやたら音が大きいですが、スローは良く効きます。

[車体の加工 その1]

 上回りは車体、屋根を内張り兼用?の箱状の厚い窓ガラスを介してハメ込み、 床板を窓ガラスの下縁で支える形でハメ込む構成になっています。 屋根や床板を曲げないように注意しながら上下に引っぱって分解し、 ハメ込みのためのボスは取り除きました。また、窓ガラスの天井にモーターが当たるので、 モーター部分の窓ガラスの天井部をレザーソーとカッターで繰り抜いておきました。

[動力ユニットの加工]

 動力ユニットの床板は車体幅より若干広いので、両側からヤスリで削って 車体にぴったりハマるようにしました。台車やモーター類は外して加工するのが良いのでしょうが、 もとどおり組み立てられるかが不安だったので、そのままで作業しました。 もっとも、削り屑が動力系統に入らないように注意しないとだめでしたが(床板はベークライト製みたいで、 粉のような切屑が出ます)。次に、床板の前後端を半円形の車体端部に合うように削りました。 削りすぎると床板が端に寄りすぎて台車中心間が広がってしまうので、 図面等で台車の位置を確認しつつ様子を見ながら少しずつ削っていきました。

 次に、いよいよ床板を延長します。床板を、ウエイトや集電系に支障しない適当な位置で レザーソーを使って切り離しました。集電用台車とウエイト搭載部の間で切るのが良さそうですが、 私は何を勘違いしたか、動力台車とウエイトの間で切ってしまいました(切っている途中で気が付いた)。

 床板が切れたら、窓ガラスを入れた状態でひっくり返した車体に床板をそれぞれの端部に寄せてセットし、 空いた隙間(隙間というには広すぎますが...)にぴったりハマるサイズで切り出した1mm厚プラ板を ハメ込みました。床板とプラ板の接合は、いくつかの方法があると思いますが、 私はちょっとやり難かったのですが、床板の上側から更にプラ板で継ぎを当てて、 瞬間接着剤で固定しました(この方法しか思い付かなかった)。 なお、床板を延長しても台車間を結ぶ集電用の電線の長さには余裕がありました。 結果として台車中心間は、未計測ですがオリジナルのキハ07より2mm程度広くなったようです。

 ウエイトは鉄製のブロック2枚重ねでしたが、天井につっかえそうなので、 上の一枚を剥がして切り継ぎ部にまたがるように移設して補強の一翼を担わせました。 これは、同時に窓からウエイトを見えにくくすることを意図しました。

[車体の加工 その2]

 屋根と車体は接着してしまいました。その車体に窓ガラスを入れて動力ユニットを入れれば、 一応走る状態になりますが、このままではカーブ通過がかなり苦しく (280Rで窓ガラスにモーターが当たる)、また、腰が高くてプロポーションがちょっと変です。

 そこで、まずモーター周辺の窓ガラスを透明プラ板と入れ替えました。 これでカーブ通過が楽になり、243Rまでは通過するようになりました (これより急なカーブは試していません)。 結果として元の窓ガラスはモーター部分を使用しないことになるので、 最初から前後に切り離しておいたほうが良かったかもしれません。 床板の延長時には窓ガラスが一体になっているほうが作業しやすそうですが...

 次に腰を低くしました。床板は窓ガラスの下縁で支える形なので、 窓ガラスの下縁をヤスリで均等に削ってやればOKでした(実際の作業はかなり面倒くさいですが)。 ただし、腰を低くするとモーターが車体天井の梁に当たるので、これを薄く削る必要がありました。 これは屋根と車体を接着する前に行ったほうが絶対に良いです(なぜかは予想がつきますよね(苦笑))。 あまり腰を低くすると、今度はカーブで台車が車体デッキに当たるので、 私は約1mm下げてデッキと台車の間がわずかに空いている程度にしました。

[組み立て]

 車体側板の中央デッキ部の内側にプラ板から整形したツメを付けて床板と車体をハメ込み式にしました。 これで一応車体と床板が固定されました。

[その他]

 床下機器はエンジンなど一部をキハ04・キニ05のパーツから流用したほかは、 元の床板から切り取って移植しました。動力台車には構造上カプラーがマウントできないので、 妻板寄りの窓ガラスの下縁に別途プラ板の小片の床板を接着し、 そこにKATOカプラーNをダミーとして接着しておきました(カプラーに首を振らせるほどの余裕がない)。

 床下や、モーター、ウエイト、台車等には、塗れる部分にパクトラタミヤのツヤ消黒を筆塗りしました。 あと、ヘッドライトのレンズには銀を、テールライト(なぜか片方の端面にしかない)には 赤+クリアーレッドを色さししました。

[終わりに]

 出来上がったキハ07は、騒音をたてながらもゆっくりと走っています。 もうちょっとスピードが出てもいいかな、とは思いますが(スピードを上げると音がすごくて ちょっとコワイ)。 また、ポイント(TOMIXの旧タイプ)上で車輪か何かがレールに引っかかってスリップする場合があるので、 床下にウエイトを少し積み増ししましたが、根本的な解決にはなっていないようです。

 というわけで、最初に思ったような簡便にはいきませんでしたが、 それなりの動力化が出来たのではないかと思います。


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