バス窓湘南形小型気動車を作る

1999.11.25


[はじめに]

 事の起こりは某量販店でMODEMOの路面電車シリーズが山積みされているのを見た時、この動力を使って何か出来ないものかと、土佐電(桃太郎電鉄7)と都電(6000形)を買ってきたことから始まりました。その後津川洋行からキハ10の未塗装キットが出た時に、これと組み合わせて小型の気動車を作ってみようと思い立ったわけです。以下、その報告です。

[材 料(?)]

[前面部分の工作]

 クモユニ81の前面パーツ(というか80系電車の車体)はキハ10の車体(一体形成されている)よりも幅が広く(右写真上)、このまま作ると車体の幅が拡がって大型化してしまうため、前面の幅を切り詰めることにしました。なお、上下の寸法や屋根の深さも前面パーツの方が大きいですが、こちらは削るだけでなんとか対応できます。

 切り詰める場所は2枚窓の各窓の中央部の2カ所としました。台の上に置いた前面に細かい糸ノコ刃を水平に使って(張った糸ノコ刃自身で切り口の直線を出す)縦切りにし、切断面をヤスリでさらに少し削って車体幅に合わせてから、窓の位置を基準に再び瞬間接着剤で貼り合わせ、接合部を修正・仕上げました。なお、これら作業の邪魔になる前面の尾灯やステップのディテールは削り落としてしまいました(車体側板も同様)。同時に前面の下縁も削りました(以上左写真)。

 次に、切り出したクモユニ81の側板の先端部分(三角窓のところ)を前面に接着し、同様に仕上げて前面部分が出来上りました(右写真下)。

[側板の工作]

 キハ10の側板を切り詰めます。下回りとのバランスを見ながらいろいろ現物合わせで検討した結果、途中に排気管部分(窓間隔の広い部分)をはさんだ窓5つ分を使用し、この両側にデッキ部分を切り継ぎました。また、側板部のデッキ部の垂れ下がりがなくなってしまうので、側板の残りから垂れ下がり部分を切り取って来て補いました。ちなみにこの状態で側板の長さは約69mmとなりました。

[屋根の工作]

 側板に排気管部分を残したため、屋根は排気管部分をその位置に合わせて両側を切り取って短縮しました。長さは側板と前面が組み上がってからうまく入るように微調整します。またベンチレータが片側のエンドにちょっと寄った形になったので、空いた側に何かのカバーのような箱を一つ乗せて場所塞ぎとしました(^^;)。

[車体の組み立て]

 側板の両側に前面部分を継いで箱にしました。前面部分は側板の窓と運転室窓がほぼ同じ高さになるように継ぎました。気動車だと運転室窓は側板の窓より高い位置にあるのが普通なのでしょうが、高くすると前面部分と車体部分との屋根の高さがくい違い過ぎて修正が難しくなるため、電車的なものとなりました。

 継ぎ目を修正の後、長さを調整した屋根を接着しました。前面屋根と車体屋根との段差は1mm弱位となり、前面屋根をヤスリで削って本体屋根と同じ高さになるようにしました。この時ヘッドライトカバーを削り残す必要があったのでいささか苦労しました。削り残したヘッドライトカバーの形もあまり良くならなかったので、最初から全部削り落として別パーツを付けた方が良かったかもしれません。また、前面と車体の屋根肩部分も微妙にカーブが異なっているので、瞬間接着剤を盛ったり削ったりして滑らかにつながるようにしました。

 車体の形が出来たところでGMクリーム色1号を軽く吹いて継ぎ目のチェック&修正&耐水ペーパー掛け、を何回か繰り返して車体を仕上げました。また、側板裏の下縁に2mm角程度のプラ棒で補強を入れ、これで幅が狭い動力ユニットがぴたりと車体にはまるようになりました。なお、窓ガラスは補強の分だけ下側を切り取って入れることになります。

[車体のディテール]

 切り継ぎ作業の際に削り落としたディテールを復元します。しかし、あまりごてごて付けても私の腕では見栄えが悪くなるだけ(ほとんど言い訳...)なので、前面には手を加えず、デッキドア周りの手スリとデッキ部靴ズリだけとなりました。0.3mmのプラ板を細く切り出してラッカーシンナーで接着し、さらに耐水ペーパーで表面を削って薄くしました。前面の尾灯はφ1.5mmくらいのプラ板で作りました。その後最後にもう一度クリーム色1号を吹いて車体が出来上りました。

[下回りなど]

 動力ユニットは前後の排障機などを切り取り、車体に納まる長さにしました。床下機器類は適当に空いている部分に並べました。従ってまともな床下にはなっていません(^^;;)。車体への取付けは運転室部分に上げ底の床板を設け、これにネジ止めする方式としました。カプラーは、KATOカプラーNをタバサのTN用ポケットを介して床板へネジ止めし、若干の首振りを与えました(復元力は無し)。

[塗装など]

 下地としてクリーム色1号が既に塗ってあるので、マスキングをして青20号を吹き、最後に屋根をMr.カラーのガルグレーで吹きました。また下回りは元々グレー基調に塗られていたのでパクトラタミヤのダークシーグレーを筆塗りしました。懸案の湘南形の塗り分けはやはり難しく、多角形になってしまったので後から修正しました。ヘッドライトの後ろ周りの塗りもいまいち整っていないので、これらは今後の課題でしょう。

 正面窓のHゴムやテールライトに色入れをしてクリアーを吹いた後、窓ガラスを入れました。側面窓はキハ10用のものを窓5つ分の長いまま入れようとしましたが、屋根と一体の車体ではバス窓のHゴム部のハメ込みがうまく行かず、結局1窓ずつ切り取って各々ハメ込みました。正面窓ガラスは奮発?して、窓にピッタリのサイズに切り出したものをハメ込んで外板とツライチにし、合わせ目にラッカーシンナーをしみ込ませて固定しました。

[考 察]

 最初に書いたように走行は非常に良く、快調に走り回っております。キハ20系と比べると車幅が小さく、車高も低いので、小型車の雰囲気が出たと思います。ま、タネ車はバレバレですけれど(笑)。

 一方、車体と下回りとのバランスに関しては、真横から見るとオーバーハングが若干長く、やはりもう少し車体が短くても良かったかな(窓間隔を全て等間隔にするとか)、という感じがします。しかし、連結器の取り付けを勘案するとこれで限界かもしれません。また、運転室のほうが客室よりも上下の幅が大きいのでなんとなく頭でっかちに見えます。

 以上、個々にはいくつか課題が残るものの、全体的にはそれなりのものが出来たのではないか、と自分では思っています。


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